ディープウェル引抜工2008/11/02

ディープウェル引抜状況です。

多くのディープウェル引抜工はバイブロハンマ工法で、計画し、積算されている。

バイブロハンマの仕様は「60KW」である。

私は経験的にφ0.6mの場合、深度20m程度が限界と考えている。

勿論、土質、運転期間などによって条件は異なると思うが・・・。

以下、φ0.6m×24.0mをモデルとして定量的に検討してみる。

■検討条件

ディープウェル口径  D=0.6m
ディープウェル深度  GL-24.0m
地下水位       GL-2.0m
土の湿潤単位体積重量 γt=1.8t/m3
土の水中単位体積重量  γ'=0.9t/m3
静止土圧係数      K0=0.4(密な砂)*
鋼管とフィルタ砂利の摩擦係数 Cf=0.2*
バイブロハンマ(60KW)の起振力 T=48.7t:FM2-80(トーメック)
(*)の数値は「伊藤教授の土質力学講座」より引用した。

伊藤教授の土質力学講座 
http://www.con-pro.net/readings/soil/index.html

■ディープウェルに作用する静止土圧

算定式 p = γt(γ')×H×K0 H:深度

GL 0.0m : p0=0t/m2
GL- 2.0m : p1=1.8t/m3×2.0m×0.4=1.44t/m2
GL-20.0m : p2=(1.8t/m3×2.0m+0.9t/m3×22.0m)×0.4=9.36t/m2

■ディープウェルに作用する静止土圧の合力

算定式 P = D×π×L×p L:鋼管長

P1 = 0.6m×π×2.0m×(0t/m2+1.44t/m2)÷2=2.71t
P2 = 0.6m×π×22.0m×(1.44t/m2+9.36t/m2)÷2=223.82t
P = P1+P2=2.71t+223.82t=226.53t

■所要引抜力(摩擦力)の算出

算定式 F = P×Cf

F = 226.53t×0.2 = 45.31t

■判定

バイブロハンマ引抜力(T=48.7t) > 所要引抜力(F=45.3t) となり計算上はディープウェルの引抜が可能となる。
ただし、鋼管の溶接接続部が引抜力F=45.31tによって破断しないことが必須条件となる。

やはり、ディープウェル口径がφ0.6mの場合、バイブロハンマ工法による引抜可能深度は20m程度が限界のようである。
なお、バイブロハンマの引抜力には十分な余裕を持たせる事が必要である。

このような、検討を行わず、バイブロハンマ工法による引抜工を計画し、積算している事例がある。

ディープウェル鋼管を埋殺にできない場合、他の引抜き工法を採用することになり、多額の金額変更(増額)を伴う設計変更となるだろう。

極めて無責任な計画である。